ビットコイン(BTC)
ビットコインとはインターネット上で利用が可能な暗号資産の一つで、2009年にサトシ・ナカモトと名乗る人物によって発表された論文から始まりました。論文にはビットコインに関するアイデアやブロックチェーン技術についても記載されています。
日本円のように紙幣や硬貨等がある法定通貨ではなく、電子データによる決済機能を備えた新しい決済手段で、インターネットを経由して簡単かつ迅速に資金を送金することができます。
総発行枚数は2100万枚で、それ以上発行されることはありません。
法定通貨は発行元や管理者が存在しますが、ビットコインには管理者が存在しません。これはブロックチェーン技術とP2Pと呼ばれる通信方式を採用することで、取引情報を改ざんされることなく安全に管理することが可能となっているからです。
さらに、ビットコインは取引の記録をすべて開示しているため、不正な取引ができないようになっています。「どのアカウントが、いつ、どれぐらいの資金を取引した」とい記録は公開されており、これまでの記録は「ブロックチェーン」に保存されています。
イーサリアム(ETH)
イーサリアムは、2013年11月にヴィタリック・ブテリン氏によって考案された暗号資産です。
発行枚数に上限はなく、初期に発行された枚数は7,200万ETHです。
コンセンサスアルゴリズムについては、PoWからPoSに移行作業を行うためのアップデートを行っている最中です。
2014年に行ったICOにより5,000万以上のETHを販売し、25,000BTC以上の資金を調達。その後、2015年から本格的にプロジェクトを開始しています。
イーサリアムの大きな特徴は「スマートコントラクト」と呼ばれる機能を持っている点です。
スマートコントラクトとは、「ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組み」のことです。イーサリアムのブロックチェーン上には契約内容と実行する内容を合わえて記録することができるようになっています。
スマートコントラクトを使ったdAppsでは、あらゆる取引をプログラム上で実行することができ、さらに契約内容は必ず守られるため通貨の持ち逃げなど不正が起こると行ったリスクを低下させられます。
また、過去にイーサリアムは、2016年6月に起こったDAOと呼ばれる「自立分散型組織の確立」のために集めた資金を、ハッカーに盗まれた事件(THE DAO事件)によりハードフォークが行われ通貨の分裂を経験しています。
リップル(XRP)
リップルは、従来の国際送金が抱える「時間がかかる」「手数料が高い」といった問題を解決るために、2004年に考案された支払いシステムです。
2013年9月にリップルは初めて公開され、発行枚数の上限は1,000億XRPとなっており、コンセンサスアルゴリズムは、PoCを採用しています。
また、リップルには「リップル社(Ripple Inc.)」という管理主体が存在しているという点がビットコインなどと大きく違う点です。
通常、国際送金は複数の銀行を経由して送金が行われるため、手数料と時間が多くかかってしまいます。しかし、リップルは暗号資産の中でも送金手数料が安く、送金もわずか数秒で完結します。
さらに、リップルは「ブリッジ機能」を備えているため、法定通貨同士であろうが仮想通貨同士であろうが自由に両替が可能といった特徴があります。
国際送金ネットワークシステムであるリップルネットワークは、3つのソリューション(xCurrent・xRapid・xVia)から構成されてます。
【xCurrent】
xCurrentは、金融機関とリップルネットワークをつなぐことで、異なる通貨間でもリアルタイムに国際送金を行うことを可能にしたサービスです。従来の海外送金ネットワークであるSWIFTに代わるものとして期待されています。
【xRapid】
XRPを活用した流動性コストを最小化するソリューションです。
通常、通貨を送金する際に銀行口座が必要になります。しかし、ブリッジ通貨であるXRPを利用することでXRPが両替機能を発揮し、送金時に銀行口座を必要としなくなります。
xRapidを使えば、銀行口座を持つことが難しい途上国の人達も、リップルの国際送金サービスが利用可能になります。
【xVia】
xRapidと同様にリップルネットを活用した送金を行いたい事業者や送金業者、銀行のためのソリューションです。
xRapidとの違いは、リップルネットに参加していないような外部の機関もリップルネットワークへの接続を、ソフトウェアなしで行えるようにするものです。
ライトコイン(LTC)
ライトコインは、ビットコインのスケーラビリティ問題を解決するために開発された暗号資産です。
ブロックの生成時間を平均2.5分としており、生成速度はビットコインの4倍、総発行数もビットコインの4倍である8,400万枚となっています。
ブロックの生成時間が短いため、送金にかかる時間もビットコインと比べて速くなっています。
コンセンサスアルゴリズムはビットコインと同じくPoWを採用しています。
ライトコインはSegwitを導入しています。
Segwitとは、ブロックチェーン上に記録される取引情報のサイズを圧縮する方法のことで、これを導入することによって一定時間に大量の情報量を承認することができるようになっています。
Segwitの導入によりビットコインが抱えていたスケーラビリティ問題を解決することができたと言えます。
また、アトミックスワップという技術を導入することで、送金時に送信者・受信者のお互いが送金手続きを行わなければ送金ができない仕組みとなっており、持ち逃げされることのない安心した取引を実現しています。
ビットコインキャッシュ(BCH)
ビットコインキャッシュは、2017年8月にビットコインのハードフォークから誕生した他通貨です。
当時、ビットコインのコミュニティではスケーラビリティ問題を解決するために議論が行われていました。しかし、結果的に意見はまとまらなかったため、ブロックサイズを拡大することで合意したマイナーによりハードフォークが行われました、
これにより、古いビットコインのネットワークを使いビットコインキャッシュが誕生しました。
コンセンサスアルゴリズムはPoWを採用しており、ビットコインと同様に発行枚数は2100万枚で4年に1土の半減期が設定されています。
ビットコインキャッシュの主な特徴は「高速送金」と「安価な手数料」の2点です。
ビットコインのブロックサイズは1MBですが、ビットコインキャッシュでは32MBに引き上げられています。そのため、1ブロックに収納できるトランンザクション数も増加しました。ブロックサイズの増加により、高速送金と安価な手数料を実現できるようになったのです。
2018年11月にはハードフォークが実施され、ビットコインキャッシュとビットコインSVに分岐しました。このハードフォークはその後、暗号資産市場におおきな影響を与え、ハードフォーク以降、ビットコインの価格が30万円代にまで暴落する事態となりました。
ビットコインSV(BSV)
2018年11月に行われたビットコインキャッシュのハードフォークからビットコインSVは誕生しました。
SVはSatoshi Visionの略で、ビットコインを考案したSatoshi Nakamotoの理想を現実のものにすることを目指して名付けられています。
ビットコインSVの発行上限枚数はビットコインと同じく2,100万枚でコンセンサスアルゴリズムもPoWを採用しています。
ビットコインSVの主なアップデート内容は、下記が挙げられます。
・ブロック一つあたりの容量を32MBから128MBへ拡張したこと
・BCHのハードフォークした際に消されたコードを復活させてスクリプトを増やしたこと
これは、本来のビットコインキャッシュが目指している、スケーラビリティ問題を解決させることを目的として行われています。
過去にビットコインSVは従来のビットコインキャッシュを支持するビットコインABCとの間でハッシュ戦争が起こっています。ハッシュ戦争とはハードフォークで分裂した2つの派閥がハッシュレートを最大限引き上げ、どちらがより多くの取引を記録できるかを争うものです。
ハッシュ戦争が起こったことにより懸念されるのが「51%攻撃」です。51%攻撃とはハッシュレートの半分以上を1つのマイナーが独占した際に、独占したマイナーが取引履歴の書き換えが可能となり不正な取引を承認することができるようになってしまうことです。
2018年11月にハードフォークにより2つのコインの公開後、ハッシュ戦争は激しい攻防を繰り返しましたが、同月26日にSVを支持するクレイグ氏がハッシュ戦争の集結宣言を発表したことで、戦いは終幕しました。
テザー(USDT)
テザー(USDT)は、Tether Limited社が発行している米ドルと同じ価値を持つステーブルコインです。
ステーブルコインとは法定通貨と価格が連動する仮想通貨のことを指します。発行されているテザーとTether Limited社が所持している米ドルを同量にすることで、価値が保たれる仕組みとなっています。
テザーは様々なブロックチェーン上に発行されており、現在はETH・TRON・EOS・Algorand・Solana・OMGなどのブロックチェーン上で発行されています。
暗号資産はボラティリティが激しいイメージがありますが、テザーは米ドルと価格が連動するため価格が安定しているという点が特徴です。
そのため、投資対象になるような通貨ではなく、「暗号資産が下落傾向な場合に、テザーに交換し資金を避難させる」といった使い方ができます。
国内の取引所では取り扱いはありませんが、海外取引所ではテザーの取り扱いが多く見られ、基軸通貨として扱われています。
トロン(TRX)
トロンは、2017年にシャスティン・サンによって開発された暗号資産です。現在、開発はトロン財団によって行われています。
過去に大手暗号資産取引所のBINANCE(バイナンス)でICOによって資金調達を行っており、開始わずか30秒で完売したことで大きな話題となりました。
発行枚数は1000億枚とかなり多いですが、現時点ですべてが発行されているわけではありません。
トロンは音楽やイラストなどのクリエイターのために発行された通貨です。
ブロックチェーン技術を利用し、ユーザーが自由にコンテンツ配信を行えるプラットフォームの提供を目的としています。
既存の動画やイラストなどのコンテンツ配信のためプラットフォームのほとんどは中央集権的なプラットフォームです。それによりクリエイターが不利益を被っているという問題点をトロンは解決しようとしています。
トロンネットワークを利用し、非中央集権型のプラットフォームを作ることでユーザーとクリエーターを直接繋げることを目的としています。
イオス(EOS)
イオスは、2017年6月にICOを開始し、開始から約20時間で16億円を集めたことで注目を集めました。ICOは約1年間に渡って行われ、2018年1月までに7億ドルの資金調達に成功しました。
なお、ICOの段階でERC20の規格を採用していましたが、メインネットがローンチされた2018年6月2日に独自ブロックチェーンに移行されました。
イオスブロックチェーンは「dPoS」と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムを採用しています。dPoSはPoSの改良版で、通貨(イオス)を保有しているユーザーに対して保有量に応じて投票権が与えられ、投票によってブロックを生成できる者が選出されるという仕組みになっています。
イオスの大きな特徴としては、「処理能力の高さ」と「取引手数料がかからない」といった点が挙げられます。
イオスは1秒間で数百万のトランザクションを処理する能力があり、これはビットコインやイーサリアムと比べ圧倒的に高い処理能力となっています。
さらに、多くの暗号資産は取引手数料をとっており、その手数料をマイニング報酬として割り当てていますが、イオスのマイニング報酬は運営側が保有している通貨から支払われるため、送金時の手数料は支払わなくても良い状態となっています。
エイダコイン(ADA)
ADAコインは2015年にスタートしたプロジェクトで、日本でもICOが行われているため、国内のファン・保有者が多いことでも有名です。
カルダノというプラットフォーム上で利用する通貨のことを「ADA」と呼びます。発行枚数は450億ADAで、コンセンサスアルゴリズムはPoSベースのウロボロスという独自のアルゴリズムが採用されています。また、イーサリアムとは異なるスマートコントラクトを実装しています。
ADAは、
①プラットフォームの技術開発を行う「IOHK」
②カルダノの普及のために投資事業を行う「EMURGO」
③上記の2社を統括している「カルダノ財団」
この3つの企業(組織)によって運営されています。
開発を手掛けたのはチャールズ・ホスキンソン氏です。
ホスキンソン氏は、イーサリアムの共同創設者であることでも有名です。現在は、IOHKのCEOとして、カルダノプラットフォームの技術開発を行っています。
今後について、ホスキンソン氏は、分散型金融DeFi(ディーファイ)にも進出していく意向も示しています。